はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

第8回 蜂蜜エッセイ応募作品

誕生日午前は「蜂蜜エッセイ」執筆

渡辺 碧水

 

 誕生日に「蜂蜜エッセイ」を書くのが、ここ数年、恒例になっている。二〇二三年十月六日、八十六歳の誕生日の前夜だった。不安な思いにかられ、祈るような気持ちで、私は「蜂蜜エッセイ」の応募欄を開いた。
 というのも、いつもは、三月八日(みつばちの日)に前年度の入選作品が発表され、やがて、次回の「公募のお知らせ」が出るのだが、今年は八月三日(はちみつの日)になっても、それがなかったからである。
 幸運とはこういうことか、不安は吹き飛び、うれしい気持ちに満たされた。十月六日には新しく「第八回公募のお知らせ」が掲載されていたのである。
 さて、当日のことだが、朝七時「ハッピーバースデーツーユー」と歌いながら、同居の妻と娘が私を起こしに書斎へやってきた。起床し、何はさておき、まずは寝間着姿のまま、テレビニュースを見ながらの朝食である。娘が用意してくれていた野菜サラダ、パンと牛乳、バナナ、ヨーグルト。いつも同じものを同じ順序で食べる。
 昨年と変わったのは、野菜サラダのあとに食べる五枚切り食パン一枚が半分なったこと。大腸がんの術後定期検診で、CT検査の写真を見ながら、医師から経過の説明を受ける時、決まって「この部分は脂肪です」と腹の膨らみを指摘される。すっかり散歩も減った日常では、減量はパン半分とするしか、方策はなかったのである。
 こんがりトーストを横長に皿の上に置き、ボトルからアカシア蜂蜜を垂らす。いつもの儀式にのっとり、算用数字の8を横倒しに書く。つまり、無限大の記号(∞)を描くのである。蜜蜂の8の字ダンスも思い浮かべて、いつもよりもゆっくり、たっぷり垂らす。八十代、すべてのことが無限にずっと続くように、朗報は早く伝えられるようにとの願いを蜂蜜文字に込めて、自身に暗示をかける。
 さわやかなアカシア味を楽しみながら、何度もかみしめ、牛乳とともに胃に送る。次は特売日に買い置いた熟れたバナナにかぶりつく。そして、粉末青汁・黒ごまアーモンドきな粉・ブルーベリーが入ったヨーグルト。最後は、その小鉢に水を注いで箸で残りをそぎ落として飲む。質素な朝食である。
 とはいえ、まだ終了とはならない。降圧薬と胃薬を飲み、妻の要望で粉末ローヤルゼリーを口に含む。ローヤルゼリーは、スティク(顆粒)を朝夕になめるようニ袋渡される。妻の絶賛のサプリメントである。
 八時半、蜂蜜エッセイの下書きに取りかかる。ささやかな誕生日祝いは、午後三時のおやつの特大シュークリーム、夕食のラム肉ジンギスカン。私の好物が食べられると聞いて張り切ってパソコンに向かう。
 うれしいことを付け加えれば、故新渡戸稲造博士の召天90周年記念日(十月十五日)にあやかって出版と、鋭意努力してきた電子書籍『遠友夜学校の遺産はどう伝承されたか―新渡戸稲造の夢を未来へつなぐ年譜―』がついに仕上がった。無償で奉仕した大学の大先輩たちの遺志を引き継ぎ、無料閲覧・ダウンロードが可能な本にした。
 夕食時、日本酒で両方の祝杯をあげることにした。

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.